2010年1月17日日曜日

インフルエンザ・スキャンダル、クライメートゲートと科学

クライメート・ゲート事件の余波が続くなか、インフルエンザ「ビジネス」への疑惑を解説した以下の記事は科学への関わり方を考える上で参考になります。この記事は全文が無償で提供されているので、是非ご覧ください。

http://tanakanews.com/100112flu.htm
インフルエンザ騒動の誇張疑惑
2010年1月12日   田中 宇

疑惑は以下の文に端的に示されています。

■引用開始
特に同委員会は、WHOが昨年6月に豚インフルエンザに対する警戒度を最高まで高めて「2つ以上の地域の国々で大規模な感染」を意味する「パンデミック(世界的感染症)」(6段階の危険度の最高位の「6」)を宣言したことが、不必要に高い警戒度だったと考えており、製薬会社がワクチンや医薬品を売るために影響力を行使した結果ではないかと疑っている。同委員会の委員長(Wolfgang Wodarg。ドイツ議員)は医師だが、この問題について「医薬業界における今世紀最大のスキャンダルの一つだ」と述べている。
■引用終了


興味深いのは、クライメートゲートにも今回のインフルエンザ騒動にも、科学の権威の乱用が大きな役割を果たしているとの指摘です。

■引用開始
国際的なインフルエンザ騒動が、製薬業界による金儲けのための誇張策の結果かもしれないという疑惑は、以前に書いた「クライメートゲート」の地球温暖化の誇張疑惑と本質的に同種である。インフルエンザ誇張疑惑は、WHOという国連機関の方針決定を左右できた学者たちが、学界での権威を乱用して誇張を行い、国際的なマスコミ界がそれを増幅した疑惑である。温暖化誇張疑惑は、IPCCという国連機関の方針決定を左右できた学者たちが、学界での権威を乱用して誇張を行い、国際マスコミ界がそれを増幅した疑惑だ。
■引用終了


科学の信頼性を保証するはずのピアレビュー(査読)制度が、異論を封殺する道具として悪用されたと改めて指摘されています。背景に利権があるかどうかは別として、常温核融合の世界でもビアレビュー制度が新たな知見の発表を封じる圧力となっているようです。ピアレビューが信頼性確保のために有益な制度であるとは言え、その運用方法について科学の世界でも真剣に議論して欲しいと思います。

■引用開始
いずれの問題にも「専門家しか語る資格がない」という社会的な縛りがかけられている。専門家(学者)の業界には「ピアレビュー」という国際的な制度がある。新たな主張を載せた論文を書いたら、同分野や近隣分野の世界の学者たちに論文を読んでもらって学術的な間違いがないかどうか確かめ、その上ではじめて正当な主張と認められる制度で、もともとは間違った主張が横行しないようにする良い制度だった。温暖化問題ではそれが悪用された。 ("Climategate": Peer-Review System Was Hijacked By Warming Alarmists)
英米の権威ある学者たちが、地球温暖化に懐疑的な学者の論文が出てくるとピアレビューで難癖をつけ、その学者の権威を落とす策を続け、温暖化懐疑論を封じ込めてきた。懐疑論を封じ込めるため、専門誌の編集者や、専門誌に併設されているピアレビューのための学者の編集評議会に圧力をかけることも行われていた。 (Subject: Re: Fwd: Soon & Baliunas)
■引用終了


以下の指摘を見ると、科学が政治や経済にもたらす影響が余りにも大きくなってきた現代では、たとえ無知な素人であっても、分からない事に対しては説明を求めると共に、科学の内容を理解すべく努力する必要があると改めて思いました。

■引用開始
こうした学界の状況の上に「専門家(学者)しか語る資格がない」という社会的縛りが作られる。「ピアレビューされた論文に書いてある主張以外は、無知な素人か勝手に言っているだけだから意味がない」という「常識」が作られる。クライメートゲートが暴露された後、FOXニュースのライブのテレビ番組のキャスターが、温暖化対策推進の著名な運動と討論し、キャスターが懐疑論を展開したのに対し、運動家が「お前は専門家じゃないんだから黙れ」と叫び続けたのが象徴的だった。
■引用終了

以上

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