2011年8月8日月曜日

田崎和江博士の微生物による放射性セシウム除染実験を応援します

8月3日の福島民報Webサイトに、「バクテリアの除染に効果 飯舘の水田、線量が大幅低下」という記事が掲載されました。残念ながら、今は削除されてしまったようなので、Googleキャッシュから引用します。


この記事の中で重大なのは、以下の記述です: 「水田では無害のバリウムが確認されており、田崎名誉教授はバクテリアの代謝によって放射性セシウムがバリウムに変わったとみている。金沢大低レベル放射能実験施設で水田の土1キロ当たり447ミリグラムのバリウムを検出した。バリウムは通常、土壌からは検出されないという。」

今までの常識で考えると、バクテリア等の微生物が活動しても、元素の核種が変換される事はありません。例えば、酸素と炭素が化合して二酸化炭素になったりはしますが、酸素自体や炭素自体の核種が変わるという現象は起こる筈がないのです。

しかし、実は、微生物によって放射性のセシウムが安定性のバリウムの変化するという報告は、これが初めてではありません。凝集系核科学の国際学会(ICCF)でも度々発表しているロシアのVladimir I. Vysotskii博士(以降、ヴィソツキー博士と呼びます)が、これと良く似た実験結果を論文として発表されているのです。

以下は、JCMNS Vol.4 (JOURNAL OF CONDENSED MATTER NUCLEAR SCIENCE VOLUME 4, February 2011)に載ったヴィソツキー博士の論文からの引用です。
(論文の題名は、「Low-energy Nuclear Reactions and Transmutation of Stable and Radioactive Isotopes in Growing Biological Systems」です)




この図は、ヴィソツキー博士がMCT(microbial catalyst-transmutator)と呼ぶ微生物の集合体をセシウム137に混ぜ、セシウム137からの放射線の強さの変化を測定したものです(だと思います)。一番上にある線が、MCTを混ぜておらず、通常通り約30年の半減期で弱まっていくケースを示しています。驚いた事に、MCTを混ぜたケースでは、その他の添加物(NaClやCaCO3)に応じて違いがあるものの、30年よりずっと早いペースで放射線が弱まっているのです。
最大の効果が得られたケースでは、半減期は約310日と観測されており、通常より35倍も早いペースで放射線が弱まっています。

そして原因の推論として、セシウム137がバリウム138に変換されたのではないかと述べられています(バリウム138をどのように検出したかの詳述は無いようなので、この推論には飛躍があると思いますが、別途測定をされているのかもしれません)。
A possible reaction of radioactive Cs137 isotope utilization is
Cs137 + p1 = Ba138 + 5.5 MeV.
The result of this reaction is the creation of a stable Ba138 isotope.
ヴィソツキー博士は、異端とされる常温核融合研究の中でも更に異端の位置にある生体内核変換を追究されています。残念ながら、他の研究者による追試が出ていないので、どの程度信じられるものなのか判断がつかず、今まで真剣に調べては来ませんでした。

しかし、今回、田崎和江博士の実験が、非常によく似た成果を主張されているのを見て、この実験や研究は追究する価値のあるものだと思いました。

もちろん、従来の常識からは考えられない現象である事は承知しています。でも、着々と実験事実が積み重ねられ、実用化一歩手前まで来ている常温核融合現象だって従来の常識にはありませんでした。この実験の持つ重大な意味、つまり、放射性セシウムで汚染された国土の除染を大きく加速できる可能性を考えれば、国家や東電の予算を使ってでも、この実験を全力で支援すべきだと考えます。

何かの間違いなら間違いで良いではありませんか。不思議を解明するのが科学です。それが重大な価値を持つならなおさらです。是非、実験を進めるよう声をあげて行きましょう。


補足: ヴィソツキー博士の論文一覧は、(完全ではないと思いますが)LENR-CANR.org の論文ライブラリにあります。これを見ると、少なくとも1996年頃から微生物による核変換を研究されてきている事が分かります。


以上

7 件のコメント:

  1. どの辺がどのように痛いのかを具体的にご指摘いただけるとありがたいです。

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  2. 私もこの新聞記事とても興味深く読みました。田崎先生は放射性バリウムを測定されたのでしょうか?
    それとも普通のバリウムでしょうか?

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  3. 残念ながら、本件に関して私の持っている情報は、新聞記事に載った範囲でしかありません。
    ご指摘の通り、どのようなバリウムを、どうやって、どの位の量検出したのかは非常に興味深いのですが、私にも分かりません。
    ダメもとで、田崎和江博士にメールを送ってみたので、もしかすると何か教えていただけるかもしれません。尤も、論文発表前なので、公開はできないかもしれませんが。
    何か分かったらまた報告します。

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  4. Ba-138なら普通のBa。β崩壊でBa- 137でも天然に10%ある。

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  5. はい。単にバリウムが検出されただけでは証拠として不十分でしょう。対照実験を行った上でバリウムのどの同位体が、どの程度の量増加したのかの計測が必要だと思います。
    ヴィソツキー博士の論文には、その計測結果が載っていないようなので、もっと詳しく計測した論文を探したいと思います。

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  6. 田崎和江名誉教授は生体内核変換について何も知らずに実験し、バリウムを検出したのではないでしょうか?それに対してヴィソツキー博士らの実験は粘土がCsを包んで放射線を石棺するのではなく、化学変化の中で微生物が関与して核変換が起こっているようです。しかしヴィソツキー博士はウクライナで共著者はロシア人でチェルノブイリに関係していると思われます。スミルノフ学派佐野千遥博士によりますとロシアではトリチウム除去のできているようです。
    http://ameblo.jp/allahakbar231/archive1-201311.html

    そして、日本もロシアの力を借りるようになったみたいです。
    http://jp.sputniknews.com/japan/20150709/552877.html

    また何か新しいことが分かったら教えてください。

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